売上げ10億円を突破してスタートを切った40年代②
昭和40年代に大きな躍進を遂げたマサルだったが、財務面はどのような状況だったのか?
資本金でいえば40年代に4回の増資が行われた。1969(昭和44)年の300万円にはじまり、1971(昭和46)年から1973(昭和48)年まで500万円、800万円、1,000万円と3年連続して大幅に増資した。これらも1964(昭和39)年の増資の場合と同様、利益の社員有償分配の意味をもつ社員持株制度による増資であった。
――資本金、1千万円の大台に
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折しも40年代末のわが国は第1次オイルショックに見舞われ、深刻な不況に突入した。これまでシーリング施工業は、他の産業と異なり、景気の動向にはほとんど影響されることなく推移してきたが、この不況にはやはり厳しい試練を味わうことになった。
この業界が景気動向に強い理由として次のような要因が考えられる。一般的に建設工事は好況期に発注されることが多いが、完成までには1~2年の日時を要する。その建設工程においてシーリング工事は最終段階を受け持つ。したがって景気の動向に対して少なくとも1年半~2年のタイムラグが生じるわけである。もしビル建設中に不況期に転換しても、最終工程のシーリング工事にはほとんど影響を及ぼさない。まして循環型の景気であれば、シーリング工事が終了するころには再び景気は回復期に向かっており、受注が可能となる。このような恵まれたサイクルのおかげで、マサルはこれまでの不況にはさして影響を受けず、仕事を続けてきた。
しかし、オイルショックによって日本経済は大きくゆがみ、産業界の収益率を押し下げて設備投資不振をもたらし、建設工事の冷え込みを招く深刻な状況になってきた。こうした状況を身近に見て、マサル社内にぴりぴりとした緊迫感がただよっていた。
操上弘昌を中心に幹部社員が一堂に集まり対応策を練った。「もはや足で稼ぐしかない。あらゆる工事現場に飛び込んで仕事探しをしようじゃないか」と口々に提案し、みんなで行動を起こすことになった。翌日から分担して四方八方に飛び、どんな建設会社であれ工事現場とあれば残らず洗い出した。毎日情報を持ち寄り、受注の可能性を○・✕式で評価して一覧表を作り、これをもとにして操上が積極的な営業活動に飛び回った。
結果的に、操上の獅子奮迅の活躍のおかげでオイルショックの厳しい不況を切り抜けることができた。と同時に、かえって禍を福となす効果ももたらした。このような緊迫した場面を共に経験したことで社内に団結心が生まれ、積極的な営業力が培われた。「禍い転じて福となす」の諺どおり、一段と高い企業体質に成長したのである。
このときに行動を共にした社員のひとり、入船進氏(現・(株)埼京マサル社長)は、非常時の営業のやり方を操上に身をもって教えられ、その後の自分の人生に大いに役立ったと感慨深く語っている。
昭和40年代初頭までマサルにはユニホームがなかった。創立以来、数多くの大規模工事に参画してきたが、施工員はメーカーから支給されたユニホーム、あるいは私服を着用していた。創業当初にはゲタ履きで出社して、「いくらなんでも!」と叱られた職方もいた。
1966(昭和41)年、「マサル」という名前が大きな信用をもつようになったことから、社名入りのユニホーム、ヘルメット、安全帯など一式が制定された。マサルのロゴがくっきり記された黄色のヘルメットとブルーのユニホームを揃いで着用し、社員も職方も胸を張って工事に携わった。

株式会社マサルのユニホーム

マサル工業株式会社のヘルメット
組織として整備が進む中、社員教育と技能工の育成にも力を注いだ。
常に高いレベルの技術力を発揮し、万全の品質管理を行うことが、プロ集団であり続けるための重要な要件である。そのためには広い知識の修得と技能の向上が欠かせない。
また、技能工の育成は企業発展の絶対的要件である。マサルでは自社の技能のレベルアップと育成を目指して、期間を設け、新入社員および施工員を対象とした技能修得の集中教育を実施した。その後、小岩・千葉の両技能研修所の開設により本格化した。
以下、実施した教育、研修を列記する。
1)社員教育
①新入社員研修
会社概要・就業規則および専門基礎知識等を2~3週間実施(毎年4月)
②中堅社員研修
イ、内外講師による勉強会の実施(随時)
ロ、品質管理を目的とした外装検討会への参加による実践教育の実施(2回/月)
ハ、外部研修への参加(シーリング管理士講習など資格取得)
③幹部社員研修
イ、外部研修への参加(組織革新研究会など。随時)
ロ、主任以上を対象とした管理者教育の実施(合宿などによる。随時)
④勉強会
新商品・新技術の勉強会の実施(随時)

社内研修会
2)技能者教育
①新入技能社員研修
新入社員研修後、更に2~3カ月間
研修所にて施工技能の実技研修を実施
②施工員研修
外部研修への参加(防水技能士講習など資格取得)