事業分野拡大への取り組み①
建物の劣化した外観を美しくリニューアルするためには、外壁の汚れ落としや塗装面の化粧直し、あるいは外壁のヒビ割れや浮きの補修などは欠かせないものである。マサルでは、リニューアル事業を進めていくうちに、これらについて画期的な工法を次々と開発してきた。
――外壁のリニューアル技術の開発・前編
従来、外装材が劣化し塗り替えを行う場合、まず劣化部分を除去するために、サンダーで研磨する方法(ケレン)、剥離剤や熱、火などによる研掃作業を行っていた。この作業過程においては、粉塵の飛散や躯体損傷などにより近隣からのクレームや作業環境の悪化などのいろいろな問題が発生していた。何かよい工法がないものかと、現場からの検討依頼があり、画期的な工法・システムを開発したのが、スーパーブラスト工法「メカス」のシステムである。この開発に当たっては鹿島建設(株)とマサルが共同開発し、1986(昭和61)年実用新案を出願した。

メカスシステム
メカスとはMasaru Engineering Kabe Airblasting Systemの略で、高圧タンクに供給した研掃材を圧縮空気とともに噴射させその衝撃力で塗膜材を粉砕して剥がし、粉塵は集塵機に回収し、フィルターを通して清浄な空気のみを排出するというシステムである。施工に際しては仮設ゴンドラあるいは枠組み足場作業のいずれにも対応でき、簡便で機能的な構造となっている。メカスは、こうした構造上から作業能率アップを実現するとともに、粉塵によるトラブルも完全に解決し、コストの低減化に大幅に役立った。
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ゴンドラにて作業(スーパーブラスト)

自動車に搭載された装置
また、このシステムは既存塗膜、コンクリート、金属、石材、タイル等の研掃から、耐火被覆(アスベスト)除去まで、幅広く使用することができ、リニューアルのみならず新築分野でも、コンクリート表面の目荒らし、石のクリーニング工事等に活用されている。
初工事は1985(昭和60)年の横浜市中央卸市場(南部市場冷凍庫棟)の外壁改修工事(約1万㎡、神奈川県横浜市)を1号機で実施。続いて京王プラザホテル本館のリニューアル工事(約2万㎡)を行った。
先に述べたように、ホテルのリニューアル工事は宿泊客への快適環境を維持した状態で行うという特殊性がある。
1985(昭和60)年、京王プラザホテルの外壁のリニューアル工事に取り掛かろうとしたとき、まず第一の難関がこの問題であった。PC板が露出するまで古い外装材をきれいに剥がし、下地にアクリル系を、その上から耐久性に優れた弾性フッ素樹脂を吹き付け塗装する工事を行うのだが、この古い材料を取り除く際に埃がまき散らないようにしなければならないのである。これに対応できる工法をと考え、スーパーブラスト工法を超高層ビルとしては初めて導入した。開発間がない工法とあって当初は騒音や機械のトラブルなどに悩まされたが、徐々に改善され、マサルの技術力の柱となるまでに至った。工事は6年間をかけて完成した。
続いて1992(平成4)年にはカームジェット工法が鹿島建設(株)と(株)大興物産により共同開発され、施工技術協力としてマサルも参画した。
この工法は超高圧ポンプで加圧した超高圧水(ウォータージェット)をノズルから噴射しコンクリートを砕くもので、ノズルを旋回させることで高い破砕効率を実現した。作業に使用した水と破砕したコンクリートはバキュームで回収され、沈殿中和装置で処理される。したがってウォータージェットの特性を応用したこの工法は環境問題にも十分に対応できる。

カームジェット工法装置

三井霞が関ビルリニューアル工事におけるシステム
その他主な特徴として、
・鉄筋や埋設させた配管に損傷を与えずコンクリート部分だけを破砕することができるため、思わぬところにある電気配線を切るような事故が防げる。
・コンピュータ機器がもっとも嫌う振動、粉塵を発生させず、騒音も少ない。
・自動化による作業効率の向上と遠隔操作による高い安全性が確保できる。
・システムの小型化で作業場所を選ばない。
・作業に水を使用するためコストが安価である。
等々の多くのメリットを有している。
この工法の導入によって建物分野だけでなく、リニューアル需要の増大が予測される土木分野に事業参入の可能性が生まれ、前途が期待された。
主な工事は、1992(平成4)年度の東電信濃川ダム補強工事、日本歯科大学新潟歯学部(新潟県)、北千住駅(東京都荒川区)改修工事、1993(平成5)年の東名高速道拡幅工事などがある。
建物の外壁には仕上材として石材(本石や人造石)、大型タイル、PC板などが使用されている。これらの仕上材は年月の経過とともに躯体から浮いたり、剥がれて落下したりする危険性がある。これらの危険防止のために石材や大型タイル、PC板を補強し、落下防止する象眼工法を開発した。補強位置をダイヤモンドドリルで孔をあけてエポキシ樹脂を注入し、ステンレスボルトを埋め込み、象眼石を装填する工法であるが、表面に補強した跡をほとんど残さないで処理できるところに大きな特徴がある。

象眼工法①

象眼工法②

象眼工法③
主な工事歴は、1984(昭和59)年の新東京ビル(東京都千代田区)に始まり、1986(昭和61)年の大手町ビル(同千代田区)、国際ビル(同千代田区)、1987(昭和62)年の日本通運本社ビル(同千代田区)、帝国劇場(同千代田区)、1988(昭和63)年の第一生命大井松田本社ビル(神奈川県足柄上郡)などがある。

第一生命大井松田本社ビル