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多角化への道 C 5-8

特殊な施工条件への対応②

昭和60年代~平成初期⑧

前編に引き続き、技術開発や特徴的な工事が見られた施工実績を紹介してゆきたい。

――シーリング工事・後編

1990(平成2)年に東京・田町に竣工した日本電気本社ビル(東京都港区)は珍しい形のビルである。当時問題視されていたビル風被害を配慮して、切妻屋根で高層建築を2分し、間に15mの風穴空間を設けた特殊な構造でつくられた。この工事の思い出はやはりゴンドラ作業の苦心に尽きる。

屋上部分と低層部分の幅が極端に差があるビルではゴンドラを屋上から外壁に沿って真っすぐに吊り降ろすことはできない。そのため、屋上からアームを突き出し、この先端からゴンドラを吊り下げるという工法を採用した。しかしこの取り付け作業は一通りの難しさではなかった。重量についても、できるだけ軽量にと配慮して1人乗りの小型ゴンドラを使用した。

ところがゴンドラはアームの先端から吊り下がっているために空中で激しく揺れる。シーリングすべき箇所の位置決めは、屋上とゴンドラ上とで無線で連絡を取り合うのだがなかなか定まらず苦心した。

またこのビル工事ではゴンドラを使用する必要がある部分が特に多かった。にもかかわらず、ゴンドラは屋上工事が終了した後でなければ設置できない。工期に追われながら一同必死の奮闘を続けて完成にこぎつけた。

日本電気本社ビル

日本電気本社ビル

竣工 1990(平成2)年

延べ床面積 145,272㎡

軒高 180㎡

地上 43階

地下 4階

1991(平成3)年に竣工した東京都庁舎(東京都新宿区)は、丹下健三・都市・建築設計研究所の設計による複雑な多角形のツインビルである。第1庁舎、その東側には第2庁舎が配置され、両庁舎が同時進行で完成した。外壁は江戸時代の伝統的な形や集積回路を象徴して本磨きおよび水磨きの2種類のGPCが用いられたが、この外壁のシーリング工事には難問が続出した。

まず規模的にみると、全長38万mの膨大な量に達した。これをマサルを主力とした4社で請け負った。マサルは常時30人を動員して作業に当たった。

最大の難問はゴンドラ工事であった。この複雑な形をしたビルにどのようにゴンドラを吊り下げるか。まず、ゴンドラ計画が綿密に設計された。入り組んだ構造のため、ゴンドラ設計は極めて複雑になった。問題はガイドレールのないコーナー部分である。ここは250mにわたるコーナーを一気に吊り下げるしか方法がなかった。それまで経験した最高は150mだったから驚異的な高さである。照りつける暑さの中、あるいは風の中、無線で連絡を取り合って行ったこの工事は作業員たちにとって一生忘れられない強烈な思い出となった。

東京都庁舎

東京都庁舎

第1庁舎

竣工 1991(平成3)年

延べ床面積 195,764㎡

軒高 243m

地上 48階

地下 3階

第2庁舎

竣工 1991(平成3)年

延べ床面積 140,035㎡

軒高 163m

地上 34階

地下 3階

1993(平成5)年に甲州街道に面して建築された東京ガス本社ビル(東京都新宿区)は、大屋根にそびえ立つ3基の三角形のガラス張りの塔が強烈なインパクトを与えている。この三角屋根は3層吹き抜けアトリウムの最上階のトップライト構造となっており、当時日本一の規模として位置づけられていた。

このビルのシーリング工事全般をマサルが受注管理した。したがって工事量は創業以来の施工量となり、それに伴って売上高も最高額を記録した。

工事過程においていちばん問題となったのは、高層棟トップライト、低層棟トップライト、PC板目地、一般外壁など、工期がすべて同時期となり、施工範囲が建物全体に拡散したことであった。

東京ガス本社ビル

東京ガス本社ビル

竣工 1992(平成4)年10月

延べ床面積 269,200㎡

軒高 235m

地上 52階

地下 5階

1993(平成5)年、横浜港近くのみなとみらい地区に建設されたランドマークタワー(神奈川県横浜市)は、オフィスやホテルをはじめ専門店街、多目的ホールなどを擁した日本一の超高層ビルである。空高くそびえる威容は21世紀に向けて新しく生まれ変わろうとする港横浜の象徴となった。

このビルは、当初の計画段階では在来工法での建築が予定されていた。ところが準備期間が長引き、工期期限がわずか40カ月間という切迫した状況になったため、急きょ工期短縮可能の等圧工法に切り替えられた。これに伴い、シーリング工事も内部からシーリング施工する工法に変更された。

外部からの工事は少なくなったものの、外壁に花崗岩を打ち込んだPC板を全面的に使用しており工事量は莫大なものであったし、等圧工法からシーリング工法への切り替え部分が多発し、技能工の不足と工期に追われ多大な苦心をした。

建物は100年を意図されており、外装材はメンテナンスの少ない素材(石、ガラス)で形成された。また、PC板のオープンジョイント部のガスケット類はほとんどが将来取り換え不能なため、万一の場合、外部よりシーリング材を打設できる目地形状を提案した。

ランドマークタワー

ランドマークタワー

竣工 1993(平成5)年4月

延べ床面積 392,283㎡

軒高 296m

地上 70階

地下 3階

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