成熟企業への経営の転換
1987(昭和62)年11月30日付をもって、苅谷勝が代表取締役社長を退き代表取締役会長に就任し、後任に操上弘昌が就任した。
この社長職委譲は創立30周年を迎えたのを機に、21世紀をも視野に入れた大いなる飛躍に備えて行われたものである。新社長体制のもとで新時代にふさわしい組織替えが行われ、“新生”マサルが前途洋々たるスタートを切った。
――新たな飛躍をめざした組織改革
苅谷勝は社長退任に当たり次のように述べている。
創業時は多少の苦労はあったが、社会的背景も良い時代に恵まれ、バックになっていただいた方々に応援していただき、職方、役員、社員の真摯な努力によって立派な業績が上げられた。
かねてから社長交替は業績の良い時期でなければと思っていた。後継者を選ぶことは大変難しいといわれているが、わたしの場合、操上に継いでもらいたいと2年ほど前から心に決めていた。節目の年、創業以来30年、60歳を契機として退任することとした。 いま、私は大変幸福者だと自慢している
これを受けて、操上弘昌新社長は次のような就任のことばを述べた。
入社以来今日まで、オイルショックを含め何度かの不況時を乗り越え、ただがむしゃらにやってきた。
当社の事業は、わが国の経済事情と高度成長の時流のなかで、予想以上の恩恵を享受し、シーリング防水事業の碁礎ができあがったのである。 このたびの私の社長就任は、時まさに前途洋々として盛運の真っ只中にあり、私にとって誠に幸運である。今後の社業発展のため、全知全能をもって邁進することを誓い、挨拶としたい
これをもって苅谷勝から操上弘昌へ、バトンタッチの堅い握手が交わされ、マサルの新しい時代が始まった。
新生マサルのスタートに当たり、操上弘昌社長はマサル経営の基本理念を社是および経営基本方針として掲げた。この高邁な一言一言は、社員一同に自分たちの会社マサルヘの誇りを抱かせ、奮起させるものであった。
また同時に「業務七訓」も提示された。これは操上社長が入社以来、現場で奮闘してきた自己の体験を踏まえてまとめ上げたもので、業務のあるべき姿を唱導するものである。
なお、これらは社長夫人・操上享子の筆により額に入れられ、会議室に掲げられた。
1989(平成元)年、操上弘昌社長は、21世紀を視点におき、「常に自然と社会に貢献すること」を企業活動のテーマとするCIを導入した。これに伴ってグループで共通使用するコーポレートシンボルを制定し、刷新の気を盛り上げた。
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旧ロゴマーク(1966(昭和41)年制定)
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新ロゴマーク(1989(平成元)年制定)
コーポレートシンボルのデザインの基調は、マサルグループの「マ」の字をシンボル化した太陽のマークと、太く力強いゴシックラインで大地を表現したグループロゴ、この2つを組み合わせて創作された。マークは、オレンジ色とその形で太陽のエネルギーを活力源として躍進成長するマサルグループを表現。グループロゴは、グリーンの色でやすらぎと安全を、字形で安定感と確実性を表現している。
1989(平成元)年8月、マサル工業(株)から(株)マサルに社名を変更した。多角化に向けて邁進しようとする企業の社名に“工業”がついていると、企業の活動範囲が限定されるような印象があり、ふさわしくないのではないか、という意見があり、思い切って社名変更を検討することになったのである。また、社名を変更して心を一新し、次代に夢を切り拓いていこうとする意気込みの表れでもあった。