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業務拡大期 C 4-2

次なる飛躍を目指して②

昭和50年代➁

建造物の室内外では気圧差が生じる。気密性の高い建物で、窓を開け放った時に一気に風が吹き込むように感じるそれである。雨水の侵入も同様で、そこで考案されたのが外壁内部の気圧を外気圧に近づけ、雨水の侵入を防ぐ防水技術「等圧工法」である。

――等圧工法の登場

等圧工法の台頭について『建築用シーリング材―基礎と正しい使い方』(日本シーリング材工業会 1993(平成5)年刊)によれば、概ね次のように時代背景が説明されている。

『昭和40年代のシーリング材の発展によって、建築業界では雨仕舞いにはシーリング材を充填しさえすればよいというシーリング万能信仰が広まっていた。そのため設計者は構造上の雨仕舞いを忘れてしまい、次々と漏水事故が起きる結果となった。原因は、シーリング材がムーブメントに追従しきれないことによる剥離と破断である。特にアルミカーテンウォール工法が経済性の観点から、パネル方式からマリオン方式(方立方式)に移行し、このマリオンの目地においては最悪の事態になった。

建築業界では雨仕舞いの原点に立ち戻り、シーリング材に頼らない雨仕舞いのディテールの検討をはじめとし、外部にシーリング材を使用しない等圧工法の研究をはじめた。1978(昭和53)年の新宿センタービル、1979(昭和54)年の虎ノ門三井ビル第2期工事、1980(昭和55)年の浜松市庁舎などのカーテンウォールは等圧工法を採用している。しかし、等圧工法はイニシャルコストがかかるため、一般建築物にまで普及するに至らなかった』

等圧工法

等圧理論をカーテンウォールに適用したのが「等圧カーテンウォール工法」で、図のように「等圧開口」を設け、室外の気圧(風圧力) PAと接合部内の気圧PB をほぼ等しくして、接合部空間に「気圧の差」により雨水が浸入することを阻止する。

具体的には、レインバリアの一部に外気を導入することにより、レインバリアの裏にある空間を外気圧に等しくし、風圧をその室内側に位置する気密壁で受けるようにする。こ

の方法により、気圧の差による室内への漏水を防ぐことができる。

等圧工法①

等圧工法②

等圧工法は、開発当初、シーリング材のメーカー及び施工業者にとって不安要素として受け止められた。確かに性能は良いし、外壁のシーリング工事を行わない点では工事の安全性が確保される。しかし経営面で考えると、材料や仕事の量が格段に減少するのではないか、極端にいえば死活問題につながるのではないか、とマサルをはじめシーリング業界では深刻に受け止めて将来に不安を感じたのであった。しかしマサルは等圧工法のビル工事に積極的に参加した。その目的はこの工法の技術修得にあった。

結果として、等圧工法は理論的には可能であってもすべてが完璧に解決されるものではなく、施工については仕口にいろいろと問題点があり、やはり内部にシーリングしなければならない部分があることがわかってきた。そのため、現在では外部ガスケット、内部シーリングの併用が一般的である。

最初に施工したのは新宿センタービル(1979(昭和54)年・東京都新宿区)であった。その後の代表的なビルとしては、赤坂ツインタワー(1985(昭和60)年・同港区)、アーク森ビル(1986(昭和61)年・同港区)、新川崎三井ビル(1989(平成元)年・神奈川県川崎市)、ランドマークタワー(1993(平成5)年・同横浜市)、恵比寿ガーデンプレイス(1994(平成6)年・東京都渋谷区)等々がある。

新宿センタービル

1979(昭和54)年、東京・新宿副都心に建設された超高層ビル。等圧工法の代表的ビルとして注目された。地上223m、地上54階。

新宿センタービル

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