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発展期 C 3-2

業界に先駆けた技術力②

昭和40年代➁

弾性シーリング材は、もともとはアメリカで航空機の燃料タンクのシールに使用するために開発されたもので、建築材料への用途はわが国では全く未知の分野だった。輸入された「ウエザーバンシーラー」をはじめ国産品の使用方法についてはマサルがパイオニアとしての役割を果たした。

――施工技術のパイオニアとしての役割

当然、大手ゼネコン各社においても弾性シーリング材の利用研究が始まっており、施工業者のマサルにしばしば意見を求めてきた。当時の大手ゼネコンと下請け業者の上下関係の慣習からすれば、これは画期的なことである。一下請け業者にすぎないマサルがなぜこのような扱いを受けたのか。それは常々の真面目な作業態度による信頼性もさることながら、ことシーリング工事に関してはどんなささいなことでも徹底して理論的に究明しつづけようとするマサルの態度を、ゼネコン各社の人びとはかねてから高く評価していたからであろう。創業以来マサルはこのような企業体質を一貰して持ちつづけ、現在にいたっている。

NHK放送センター(東京都渋谷区)は東京オリンピックに向けて1964(昭和39)年に第1期工事が完成した。番組制作スタジオを中心とした低層コンクリート造のこの建物は、マサルの歴史上、非常に大きな意味を持っている。

第一に特記すべきことは、昭和化工(株)から独立して、初めてゼネコンの1次下請けとして受注したことである。外部の防水工事はもとより内部のスタジオの遮音工事まで、内外にわたる大量の仕事を一括受注したのであった。それまで下請けの施工業者だった企業が直接取引で受注し得たのは、偏に操上弘昌の卓越した営業力の成果であり、マサルの大きな転換期であった。

もうひとつは、この工事から本格的に弾性シーリング材を使用しはじめたことである。先に述べたように昭和化工(株)から独立したことによって、油性コーキング材に比べ格段に利益率の高い弾性シーリング材を使って工事をすることができるようになった。正確にいえば初使用は富士銀行(東京都港区)だが、これは試みの段階に過ぎず、本格的に使用したのはNHK放送センターからである。

日本放送センター

この時期は高層ビル時代への移り変わる転換点でもあった。時代のすう勢として1964(昭和39)年1月、建築物の「高さ制限」が「容積制限」との併用で緩和され、鉄骨造りの高層化に対する研究開発を促し、建築業界に急速な発展をもたらした。

その本格的な幕開けとなったのが、1968(昭和43)年4月に完成した三井霞が関ビルである。

高さ制限

1924(大正13)年に制定された市街地建築物法は、今日の建築基準法の基礎ともいえるものである。この中で、前年の関東大震災の教訓を生かして耐震設計法が規定され、市街地の建物の高さは100 尺(31m)に制限された。

1959(昭和34)年、当時の国鉄十河総裁は丸の内の本社ビルを24階にする計画を想定したが、これが日本の超高層への引き金となった。以後構造面からの技術的な検討がなされ、1962(昭和37)年には地震国の日本においても31mを超える建物が可能だという結論が出された。これを受けて、建設省の委託で建築業協会による超高層建築の研究が進み、1963(昭和38)年に指針原案が公表された。 また一方では、31mの高さ制限に代わる容積制限が検討され、1964(昭和39)年1月、容積制限を併用した高さ制限の撤廃が実施の運びとなった。同年9月には建設省に高層建築物構造審議会が設置された。この審査合格第1号となったのは横浜ドリームランドホテルだが、本格的な超高層時代の幕開けとなったのは三井霞が関ビルである。

「都市建築博覧・昭和編」

建築物の高層化に伴い、従来とは異なる工法への対応も求められた。

日本におけるPCカーテンウォール工法は、1954(昭和29)年の神奈川県立図書館・音楽堂、東急会館などが初期のものとして記録されている。その後30年代にはますます広く全国的に普及していった。初期のものは剛構造で、法規により高さが31mまでに制限されていた。1964(昭和39)年に高さ制限に関する法規が改正されると、柔構造、なかでもカーテンウォール工法による高層化・超高層化が急速に進行した。

このような時勢の中で、マサルは高層ビルの建設に参入していった。

カーテンウォール

カーテンウォール

カーテンウォール(Curtain wall)は、日本語にすると“幕壁”または“吊下げ壁”という意味であり、建築基準法の用語では帳壁という。

帳壁とは、建築構造上カーテンのように空間を仕切るだけの壁のことである。つまり、柱、梁、床、屋根で建物の骨組みを造り、これで建物の自重と建物にかかる荷重を支えるようにし、壁はあとからはめ込んだり取り付けたりして造る。すなわち、建物の荷重を負担しない壁、いわゆる非耐力壁のことである。

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