高層ビル防水工事を担った先進性②
従来、ビル建設の外壁工事は足場による工事が行われていた。しかし、高層化に伴うカーテンウォールの取り付けは構造上から、足場を必要としなかった。ところがシーリング材の施工に関しては外部から施工をするため、足場に代わるものが必要であり、三井霞が関ビルでははね出し足場が採用された。マサルでは鹿島建設(株)が開発した連結はね出し足場を導入した。これは1970(昭和45)年竣工の世界貿易センタービル工事まで使われた。一方、単体足場はサッシまわりにその後も続いて使用され、1983(昭和58)年竣工の赤坂プリンスホテルで終わりを告げた。
――高所での作業環境の変化
はね出し足場は窓の開口部から足場をハネ出すもので、綿密な重量計算のもとに内部の重りと外部の足場に加わる重量のバランスを保たせる仕組みである。窓からはね出した足場からさらに上下左右に足場を拡張することができる便利な構造で、また建設の工程に従って適宜任意の窓に設置できる利点もあった。しかし一方では、移動作業の非能率性、作業の危険性に難点があり、ゴンドラ施工方法が開発されるとともに、その時代的使命を終えた。

はね出し足場
はね出し足場
当時はね出し足場で作業をした古澤は、「怖かった」と思い出を語る。はね出し足場は、最初、窓から外に張り出したときは囲いも何もない板状のものである。中空で揺れるこの板に飛び乗って、折り畳まれた蝶番を広げて左右の板を開いた後、持ち揚げる。何回も使用しているうちには蝶番が軋んでしまい、作業がやりにくくなった。また、天秤の重りの鉄の塊はひと通りの重さではなかった。数人がかりで力を合わせてやっと移動させた。

世界貿易センタービル
世界貿易センタービル
1970(昭和45)年、東京都港区浜松町に開場した地上152m、40階建ての超高層ピル。1968(昭和43)年竣工の霞が関ピルの次に建設された超高層ビルで、霞が関よりも地上の高さで5mしのぎ話題となった。工費は土地代とも220億円。
超高層ビルでの外壁シーリング工事はゴンドラによる作業となる。従来、ゴンドラは屋上階から設置していたが、途中階から設置可能なゴンドラの改良、及びカーテンウォールの納まりの技術改良等がマサルの提案によって行われるようになった。これにより、超高層ビルでのゴンドラ施工がどの階からでも可能となり工程管理面に大きく寄与した。
1973(昭和48)年竣工の新宿三井ビルでこの工法が初めて採用され、地上55階を3段階に分けて工事が行われた。
同じ時期に進行していたNHK放送センター第3期工事(東京都渋谷区)でも23階を2 段階に分けてゴンドラステージを設置する工法が導入された。このビルは全面ガラスのカーテンウォールだったので最大規模の工事量になった。6メートルスパンの4人乗り大型ゴンドラを導入し、作業員20名が分乗して作業能率を図り、話題を呼んだ。
その後、本設横移動ゴンドラが開発され、新霞が関ビル(1987(昭和62)年・東京都千代田区)で初使用された。
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初期のゴンドラ
初期のゴンドラ
最も初期のゴンドラは、現在のようなスチール製で電動式のものではなかった。2本の丸太に歩み板をスノコ状にさし渡し、丸太の手摺り(後に鉄パイプ)を取り付けただけの簡単な構造で人力で作動させた。
ゴンドラ作業がテレビCMに
三井物産本社ビル工事中、コカ・コーラのテレビCMの撮影があり、ヘルメットをかぶった作業員がゴンドラの上でおいしそうにコカ・コーラを飲んでいるシーンが放映された。建設業界で働く男の勇姿は茶の間に強烈なインパクトを与えた。