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再建への道 C 7-16

WLB(ワーク・ライフ・バランス)改革への取り組み②

2003年~2020年⑯

どうすれば人が辞めない会社になるのか。答えを探すうち、マサルは働き方そのものの見直しへ進んでいった。

――「働きやすさが会社を強くした」

2010年代後半、若手社員の価値観は大きく変化する。給与や安定性だけでなく、職場の人間関係や働きやすさが会社選びを左右した。ところが建設業界は、個人プレー色の強い業界である。現場担当者がひとりで現場を抱え、長時間労働をこなしながら顧客対応まで担う。〝背中を見て覚える〟文化が根強く、コミュニケーション不足も課題だった。

そこでマサルが取り組んだのが、2017年度・第62期に導入した「サークル制度」だった。

きっかけは、些細な気づきである。飲み会がある日は、誰もが仕事を早く切り上げる。ONとOFFを意識して切り替える場があれば、働き方そのものに変化が生まれるのではないか。部署を超えて自由に参加できる趣味活動のコミュニティを整え、会社が活動の支援をしはじめた。部署も年次も異なる社員が、ゴルフ部やバドミントン部、冒険部、ヨガ部、サバイバルゲーム部、ランニング部、謎解き部などで顔を合わせるようになったのである。

効果が最も大きかったのは、相談しやすさだった。サークル活動で横のつながりができると、声を掛けやすい関係が生まれ、「困った時に聞ける相手」が増えていった。若手社員の孤立感は薄れ、離職率の改善にもつながっていく。

この頃、マサルは現場の管理体制そのものにも手を加えている。技能社員などの助けはあるものの、建設現場では総合職社員による『担当者一人管理』が半ば常識だった。ひとりの総合職社員が、施工管理すべてを担う。経験豊富なベテランなら成立しても、新卒社員が増える時代には限界があった。実際、担当者の異動や退職で顧客対応が滞り、利益へ影響するケースも起きていた。

2018年度・第63期、マサルは現場の支援体制を大きく見直す。「安全担当者」と「品質担当者」を新たに加え、工事担当者・上司・営業担当と連携する〝複数人管理体制〟へ移行したのである。役割を分担することで、ひとりだった担当者の負担を軽くしながら、現場品質の向上も図った。その結果、担当者が休暇を取得しやすくなっただけではない。顧客対応は安定し、品質は改善に向かった。クレームは減り、利益も向上した。

2019(平成31)年4月、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が施行される。ただし建設業には5年の猶予が設けられ、適用は2024(令和6)年4月からとされた。しかしマサルは、すでに取り組みを進めていた。

働き方改革関連法

正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」。労働者の健康と多様な働き方の実現を目的として36協定に基づく時間外労働についても改正が行われ、時間外労働は原則として月45時間・年360時間まで、特別条項を設けても月100時間未満・年720時間以内に制限された。2019(平成31)年4月から順次施行された。

2019年度・第64期から2020年度・第65期にかけて「フレックス制」を導入した。

総合職社員の働き方は、現場によって大きく異なっていた。早朝立会い、夜間作業、遠方の現場――。「8時30分〜17時30分」という固定勤務では、実態には合わなかった。そこでマサルは、8時間勤務を基本としながら、始業・終業時間を柔軟に調整できる制度へと変更した。

こうした改革は、数字にも表れ始める。「労働環境改善プロジェクト」に着手した2015 年度・第60期の粗利益率は14.08%。業務効率の改善、品質の向上、クレームの減少、現場管理の安定化が重なり、2021年度・第66期以降には18〜20%台へ上昇していった。

かつて建設業界では、「労働環境改善=コスト増」という考え方が根強かった。マサルが示したのは、「残業を減らせば利益率が上がる」という逆説である。人が定着すれば情報共有が進み、品質が安定してクレームが減る。結果として、利益が残っていく。「働きやすい会社」は、「利益を生み出す会社」でもあった。

人が辞めない会社を追い求めた先で、マサルは建設業界における「新しい働き方」を現実のものにし始めていた。

第1営業部課長の女性社員は、冒険部に所属してサークル活動を続けている。冒険部の活動内容は、4か月に1度、日帰りで10km程度のハイキングに出かけること。時にはハイキングの後、サークル仲間とお酒を飲むこともあるという。サークルでの彼女の目標は、「今より少し高い山に登ること」だという。

苅谷純会長も顧問という形でゴルフ部などのサークル活動に参加することがある。

マサルの社員は若い世代を中心によく集まって活動し、その活動がアットホームな社内の雰囲気づくりに一役買っている。

サークル活動(冒険部)

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